おおよそ2ヶ月に1回の頻度で開催しているウェブアクセシビリティLT&交流会はDiscordのボイスチャンネルで開催していましたが、vol.8からはGoogle Meetでの開催に切り替えました。これはDiscordでは文字起こしができないがGoogle Meetでは自動文字起こしができるため、聴覚障害に対しての情報保障が向上すると期待してのものです。この記事ではオンラインイベントのアクセシビリティを確保するための方法について考えます。
「障害当事者の参加を歓迎します」というような記載をする
これはイベントによるかもしれませんが、「アクセシビリティのイベントに興味はあるが障害当事者が参加してよいかわからない」という意見を聞いたことがあります。ウェブアクセシビリティLT&交流会は障害当事者にもガンガンに参加してもらいたいため、「障害当事者の方の参加も大歓迎です」という記載をしています。
イベント申し込み時に必要な合理的配慮について尋ねる
障害当事者に参加してもらったとしても、必要な合理的配慮を尋ねる機会がなければその人にとって十分にアクセシブルなイベントにできないかもしれません。実際、Google Meetに切り替えたのは聴覚障害がある方からの希望がきっかけでした。
可能な限り資料は事前に共有してもらう
登壇資料が直前に共有されることがあります。晴眼者(=視覚に障害がない人)であれば、資料を見ながら話を聞くことができますが、視覚に障害があり、スクリーンリーダーなどを使用している場合は、登壇を聞きながら資料を見ることが難しいかもしれません。そのため、可能な限り事前に資料を共有してもらうことを推奨しています。晴眼者に対しても、事前に資料を読むことによって登壇内容への理解が深まるというメリットがあるでしょう。
資料のアクセシビリティにも気をつけてもらう
資料がアクセシブルでない可能性があります。テキストと背景色のコントラスト比が低かったり、スクリーンリーダーで読み上げると順番がめちゃくちゃだったり、画像に代替テキストが入っていなかったりといったことが考えられます。そのため、イベントの説明欄に資料のアクセシビリティを確保するための参考リンクを貼り、事前に相談に乗ることもできる旨を記載しています(今のところ相談が来たことはありません。試してくれよ、俺のアクセシビリティの「ウデ」をよォ…?)。
自動で文字起こしができるサービスを使用する
人によっては、手話通訳があるのが最善という人もいるでしょう。また、自動文字起こしができるだけのサービスではなく、UDトークなどの事前に単語登録ができたり、字幕をリアルタイムで修正できるサービスのほうがより好ましいでしょう。しかし、手話通訳を用意するためには予算が必要ですし、UDトークなどのサービスはおそらく参加者全員に事前にインストールしてもらう必要があります。どちらも現実的ではないと判断し、落としどころとして自動文字起こしができるGoogle Meetを採用することにしました。イベントに参加してくれた聴覚障害者の方に聞いたところ、「字幕の精度に向上の余地はあるものの、おおよその意味は取れた」というような感想をいただきました(ニュアンスの解釈にはバイアスが入っているかもしれない…)。
なお、ビデオチャットツールの中でGoogle Meetを採用した理由は、単純に私がGoogleに課金していたということと、字幕の精度はGoogle Meetがいちばんよいと聞いたことがあったためです。前者はともかく、後者は検証してみたほうがよいかもしれません。
登壇時のアクセシビリティにも気をつけてもらう
登壇時のアクセシビリティが不十分かもしれません。例えば、資料を投影している時に「今写っているように~」と言っても、視覚に障害のある人は何が写っているかわからないかもしれません。このような場合は「今○○が写っていますが~」と、投影されている内容がわかるように説明してもらったほうがアクセシブルでしょう。また、自動文字起こしを行っている場合、ゆっくり、明瞭に発話してもらったほうが精度が上がるでしょう。このような登壇時のアクセシビリティを確保するために気をつけてもらいたいことをアナウンスしています。
また、聴覚障害がある方の意見を聞いたところ、「字幕は発話された内容はわかっても、そこにどのような感情が乗っているかはわからない」というような意見がありました。字幕では声の大小や声音、感情を読み取ることができません。顔出しがしてあれば表情を読むことができるので、可能であれば顔出しもしてもらったほうがアクセシビリティとしてはよいでしょう。
SNSを利用する場合は画像に代替テキストを入れる
SNSでイベントの告知や開催報告、実況などをする際に、画像を投稿することがあります。その場合は代替テキストを入れて、アクセシビリティが確保されるようにします。
まとめ
というわけで、このぐらいのイベント自体のアクセシビリティを考えています。ご意見ご感想お待ちしてます。